株式会社 ケーヤード

造船気質

御霊入れ

御神入れとも言います。 この儀式は新造船の 進水式 数時間前、 造船所の棟梁or社長が数ヶ月間 全員が気持ちを入れて造り上げた船に納める 御神体 を作らせて頂き、 、 うしみつ時(午前2時頃)の 上潮に向かった 時刻をねらい 御神体様に おしょうね を入れて、 船のあるところに納めさせて頂く。 大きな願 がかかった 棟梁一人だけの儀式をいいます。

御霊入れの前座で 進水式前日、 日が暮れて 家の社員が帰宅して 静かになった頃合に 船主様および船主関係乗組員様を交えて、 御霊入れ式 という 御霊入れを執り行う前に お払いして 気構えをあらわす 式典を行います。 式典を納めさせて頂いたなら、 解散です。 その後、 棟梁は潮具合を計って 風呂に入って 白装束をまとい 、 清めた身体で 信ずるすべてにおつとめをして 前記の手順に戻り、 御神体を作り 時刻に備えます。

御神体
あかしてはいけない秘密とか奥義なのかな? 私が他造船所の棟梁に教わった事 なので、 その棟梁が 決して人に言ってはならないとは言わなかったし(造船業の伝統、 正道のしきたりを絶やしてはいけない思いがあったからなのか)、 お船霊様という船の守り神様であり、 海にまつわる神様だから 女の神様くらいは知っています、 その神様や船に対する心、 願いの対象だと自然に思いますが、 詳しくは他文献にて参考してください。

神体を納めるケース お宮さんって呼ぶのかわからない、 各棟梁により一様ではないと思う が けやきの王将の駒形 か 表札の大型版 高さ200mm位の木塊に横40mm 縦80mm 深さ50mm程の 窪みをつけ 打付けの蓋 があって これが御神体を納めさせて頂く 場所です

御神体として、 教わった(現在執り行ってる)通りですが、4体(@〜C)取りそろえます、 @サイコロ10mm角 (樫の木の小枝)枝芯の黒丸を一にしたもの を 2個 を 二の数の面をあわせて 固定したもの 向きと配置は この覚え句があります。 「首(オモテ) 五ろごろ、 尾(トモ)四ろし、 中ニを積んで、 三ざ波きって、 天一、 下六」 ようは サイコロの ニの面をあわせ2個のサイコロの上を一に揃えて糊でくっ付けます。 句通り、 2個くっつけた サイドの小さい辺は 三になっている。 Aお金(1円玉) 普通年12枚、 うる年13枚 Bお人形さん(深い意味は解りません) 女の人が男の人を抱いているような 平面的な人形(千代紙で綺麗に作る) C五穀を半紙で 包みます 中身は 米のもみ、小豆、ひえ、粟、大豆(私の選択です 正式は知りません) もう一つ 人によっては 船主さんサイドの生娘さんの髪の毛や文献によっては下の毛(済みません)があるそうです。 この御神体様に 次の おしょうね を 棟梁が入れさせて頂く進行となります。

おしょうね入れ
うしみつ時の 上潮に向かった時刻に 祭壇に向かい 御神体様に 大きな気 がたくさん降りて下さったと感じた時 大集中し 頂点に達した 時に ええいっ〜 と 指先から火花散るような 気を 御神体様 に向け おしょうねを 込めさせて頂きます。 木蓋で閉じて 、 次の あるところに 納めさせて頂き。 完了します。 この何行か 簡単に書きましたがねえ、 下記に書いたが 修行不足、 人間性不足極まりのない私に この行 大変荷が重く、 一言 恐くて慄いて・・・なんとも恐くて 性根の弱さが 暴露ものですよ!。 でも毎船 真剣にはやってます。

大きな気 を集めるという事は、 船主様の信仰対象、 氏神様、 先祖様、祭ってる神様を全て聞き、 船主様と私の家の全ての神仏を呼び出し、 私の守り神のお不動様の力をお借りして 知っているだけのお経本と、 真言をとなながら 全霊を込めてとか かたち的にはさせて頂いています が・・・。

気が 集中してくると 無風だったのに 急に 船首の竹に付けた 船名旗、 日の丸が バタバタと音がしたり、 現場で大きな音がしたり、 霊感の無い、 あまり恐いと感じた事の無い、 この私が、 この経験の初期には 何かが絶対いる 何かを感じる とか びびりまくりで 終わるや否や 顔面蒼白で 走って家に帰ったほどでした(笑ってください)。 この時より神仏につかえて修行している人は やっぱりすごい人達なのだ、 尊敬奉っています。

あるところ
人に言うものじゃない、 と先輩に言われましたが。 木船当時は 船の船首楼 (小型船なら バウデッキ下の倉庫) の船首竜骨の中であった。 現在もその付近の人もいるし、 ブリッチ内の神棚の近くの棚の上、 とか 棟梁が船に対しどこに気持ちを納めたいかで 決めるものと とらえる。

御霊入れ式のお供え
御霊入れ式の祭壇にお供えする、 供え物 は そして チョットと知られない奉天神事 もある。

供え物 は、 水と塩とお神酒と蝋燭、 そして次に書く 神事用のお供えで 大根の長さの中央部分の輪切りを 十数枚、 鰹節の削った物、 昆布小片十数枚を まな板の上に 供えます。

チョットと知られない奉天神事 です、 玉ぐし奉天の意味合いと同じと思いますが、 棟梁が神主になり 船のお清め、 お払い から始まり、 一人で進行します、 そしてこの神事に入りまして、 棟梁と船主及び乗組員代表の4人で順番に ニ礼しニ拍手して 、 まず棟梁から 左から1枚づづ 4枚の大根の輪切りを 別のまな板の上 に並べ その4枚の大根の上に 前の順序で 鰹節、 昆布、を置いていき、 御神酒をかけ その上に 次の人用にまた 4枚の大根の輪切りを重ね 一礼をして 次の人と順に繰り返して 4段に 積んで捧げます。 神事名は知りませんが 身が引き締まる思いです。


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