株式会社 ケーヤード

造船気質


アルミ船の塗装と電触について ( 2002/10/26 )

アルミ船を長くやらしてもらってます、 初期の頃は使えない溶接機の次に、
塗料で無駄な苦労しました、 昭和63年から現在も塗料仕様は変化なし。
下地のエポキシプライマー(白)+上塗りウレタン塗料+FRCプライマー+
船底塗料の4種類だけです。

まず、 エポキシプライマーですが、 昔 第3隻まで ウォッシュプライマーとかいって
黄色の薄透明の水で溶いたような塗料がアルミ船仕様の喫水下第1回目下地塗料で
その上に中塗りのビニール塗料、 そして 濃硫酸みたいな船底塗料(銅電位の塊)
で仕上がり。 喫水上は下地は同じで、 中間・仕上げにビニールか塩ゴムの仕様でした。
1回目の上架の時に剥がれ部・塗料と外板の隙間 全般に喫水下が侵されていました
最初は何の電位が原因なんだろう?ってかなり悩みました。 「こんなに船底塗料は
恐ろしい」 なんて誰も強調しなかった、 なんなんだ〜 ウォッシュプライマーって?
パイオニヤをやってると、 やたらと勉強費がかかってます。

次に、 エポキシプライマー(赤錆色)です、 これも初期の頃、 上塗り塗料をはがして
しまうほどの物で、 「段々白が赤くなってきたぞ、 すぐに見に来い」 のクレーム
電話があって、 めげそうになりました。 メーカーは保証もなし、 我慢ばっかりです。
今は、 一本に絞って付き合わせてもらってるその塗料メーカーと開発をお願いし、
白色で、 上塗り性も良く、 まずまずの物にしてもらって現在に至っている。

どうして上塗りに高価なウレタン塗料を使うのか 答えます、 色あせしないこと
(家の船は3年経っても、 白に輝きがあるから すぐにわかる)、 コツコツ当たる所でも
硬くて・強力で、めくれて・はげてくる事がない。 でも造船所としてデメリットもある、
表面歪があると、 艶のある塗料は光が当たれば・・・超乱反射、 ごまかしが効かない。

忘れそうでした、 外部の電触ですが、 昔 他社アルミ船の電触が騒がれてはじめてから
少しアルミ船の普及が足踏みしたことがありました。 エポキシプライマー重ね塗り
の常識がなく、 殆どの原因は船底塗料の下地塗料のでたらめが問題でした。
色々な 間違ったマニュアルが多くて、 そのために普及が遅れたのも事実だ。
亜鉛板の数、 他船から・桟橋からの電位、 漏電、 はあまり重要な要因ではないのだ。

心配なさるな、 これからの御仁、 外板の腐食は 総て 下地の問題だったんですよ!


内部の電触は、 海水配管を亜鉛鋼管でやった事もありますが、 8年経っても
なんとも無いです、 18年経ったステン管仕様でも同じ、 結構アルミ量が総勝ちして
いる状況では 気にするに及びません。 船底弁(BC)のフランジも なんとも無いです
でも、 無塗装ウェールに海水が溜まってるところに、 鉄の包丁を長時間
とかは駄目ですが、 常識程度は知ってても、 あまり気にする程でなく、
1年なんともなければ、 大きな声で言えませんが、 半永久的にアルミ船は
持ちます、 使い込み 角が取れて 自然に酸化アルミが膜を張った状態
いいですね〜、 本物の道具です、 かみさん同様に愛着を持って、 付き合って下さい。

追伸
エンジン購入時、 アルミ船仕様の 2線式エンジン配線とかいって、 特別料金です
と、 エンジンの営業マンが語るなら(何もマニュアルだから攻めてはいけません)
普通でいいですと言うべき、 ゴチャゴチャは言わないで、 チャンとエンジンと
機関台に太い電線で1本だけボルトで繋いどいて下さい。 これだけ守って下さい。
後は、 回転電位残留しているシャフトには カーボンブラシ これも 付属の
細い電線じゃなく、 太いのに交換、 シールスタン・スタンチューブも同仕様です
もう一つ、 配管でフランジとゴム繋ぎ部も太い電線繋ぎですよ、 わかったすか?

くだらない失敗経験はパイオニヤの宿命。 ご参考に。


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