株式会社 ケーヤード

造船気質

トラクタージェットとは船の推進器です。

漁船での実績では日本初 北海道沙留 8.5トン鮭定置船 第二十三 魁丸
K-Yard的には、 先にやられた感。 すばらしい船主です。 神に思えます。

水産グラフ 2010年8月
水産新聞 2010年7月26日

これはウォータージェット推進機(基本は高速)の 低速仕様のヘビーデューティ版です。

トラクタージェットはアメリカ製です。 輸入しようかと
将来目論みしていましたが、 石垣で作ったんですね。
これは全長はこそ高速WJと比べれば短いけど、
インペラ径もケーシングもゴッツイものです。
アルミだから軽そうですけど・・本家は大馬力は
1500馬力まであり。 自社で造れなくはない。
PDFカタログみます? 8ページの漁船見てみて。


憶測ですが、小型フェリーです、 全長20m位、
300ps×2機、 ハドソンリバーでしょうか?
多分アルミ船舶?でしょうが 空で半滑走してます
この写真を見てから 私は何か 変な衝撃を受け
ちゃって・・ このはやる気持ち・・ 早くものを知りたい。



2001年の11月に舟艇協会の勉強会で広島に行ってきました。 普段こういうの
行かないんだけど・・・ 直感かな? 当時の舟艇の技術顧問さんが何か目が輝く話題を
提供してくれそうで・・の感覚で。 そこで配らたテキストに驚きの写真(小型フエリーが
ウォータージェット2機で川を上ってる)・・・ いかにも力強い名称 (トラクター) に
気が奪われ 学者の難しい話を ボーと聞きながら 次のものを見てしまい、 真に衝撃 。

ウォータージェットで低速域の推力もあるんだよ!って いまさら言われたって
今までのジェットの捉え方(出足推力いまいち) では思いもしなかった事
高速WJはノズルでの反力が推力、 ノズルの絞りの少ない低速WJは、 ペラ揚力も肝心。
コルトノズル的な理論か?。 ようわからんけど、 本気に・・・ 「変わるなを実感」する。

まず 推力が大きいとして 底引き船とかに使え、 そこそこ以上 軽貨でも満載でも
そこそこ スピードが出るとしたら・・・ 大変な事なんですよ、 わかりますよね!

今までの高速型ウォータージェットとその船型設計についてを おさらいします

メリット
-1 WJ船型の船尾ラインが簡素→工数削減分で高価WJを補える→船殻重量軽減
-2 エンジンにスラスト(反力)が掛からないから 防振ゴム支持ができる
-3 後進パケット用油圧シリンダーがいるが、 操舵機用は船外機程度(おもちゃ程度)
-4 エンジンが船尾いっぱいに もっていけるので 船型バリエーションが豊かだ
-5 船底に突起物が無いので、 落水者が出ても 大事に至らない→安全性
-6 養殖・定置船は施設ロープ気にせず、 ホタテ船は 引きワイヤー 心配なし
-7 喫水下の航走抵抗は船底だけ、 スケグ・ペラ・ラダーとかの抵抗なし
-8 -7の要素は、 ワンクラス 小型のエンジンでも 可能な場合も→省燃費
-9 壊れないインペラ、消耗品はベアリング・メタルの2部品のみ→省経費

デメリット (赤文字は現在の進化型)
-1 ごみ・藻に弱い、 インペラの隙間が繊細そう (ゴミ取りMHで問題解決済み)
-2 船価が高い (トータル的に詰めれます、 従来推進器よりも安い場合もありうる。)
-3 推力がいまいち、 低速で回転高めで うるさい。 (大口径化で現在型は問題なし)
-4 操船に熟練が・・・ (三陸では80代の人が普通に操作してる。 船首尾スラスター不要)
-5 船体設計屋が簡単特性を熟知してないと メリットが生かせない。>(これはごもっとも)

以上黒文字が 今までの 高速用途の WJの認識でした。


TWJ(トラクタージェット)の概要
まず、 同馬力の高速型ジェットの倍程の大きさがある、 その事は単に
インペラが大口径であり、 あんまりポンプジェット特有のインペラの設定とか
間隙とか、 ハウジング形状とか、 ノズル径とか、 大ざっぱな様に見える
よって インペラのごみ・藻からみにも強そう、 物もシンプルで耐久性ありそうだ
そうそう、 USA ボストン メイドで アルミ船対象で溶接構造なところが今の時代。

なんせ、 減速機をかますくらい 推力があるのだそうだ、 プロペラ並み?
そこが大きなポイントであり、 まだ見てないが魅力がたっぷり。

価格が高い問題は、 船型・構造の簡素化で十分に補える設計が出来る。
エンジンの寿命関係も期待できそうだし、 デメリット クリアーじゃないすか。

信じがたいですが事実です、 確信もあるし、 やはり先駆好きのさだめか?。
とりあえず、 19総トン 未満船の漁船に 最初にまず、アピールしてみます。

何年後だろう、 話を受け入れ導入する船主に出会えるのが。 もう、 すぐ
そこに来ている様な気がする。 変人だけが見えるビジョンではなさそうだ。


余談ですが・・
なんせね、 こういうのって 新開発船型を売るとか、 初期のアルミ船質船の売りと
かと同じで、 誰かが 先に神様のような船主様に出会い 「駄目なら全補償をする
条件なら造らせてやる。」 何て言われながらも(当然だと思う)、 パイオニアは
目をきらきら輝かせ 「いいですよ、 やらせてください、 お願いします。 価格も
大勉強します。」 なんてね。 神様のような船主と、 とてつもない大ばくち打ちの
造船所社長がいなければ 技術なんて進化しなかった・・・。 そして、 これからも
そうだろう・・・、 技術者にとって頭が下がる思いの船主様と何人出合えるかが
生き様のポイントかもしれない。 木船・鋼船初期の時代の明治・大正生まれの。
人たちの中にはこんな猛者がいっぱい居たようだ。 私はこの時代の人らの生まれ
変わりかも知れない、 何か自分がやらなくてもいいのにやりたがる? 変わり者?
「そんなん、 あんただけちゃう?、 アホちゃうか。」 諦め顔で家内によく言われます。

「何で普通に仕事できればいいと思わないんだ・・・」 やはり普通じゃないのか?。

やった成果を見てすぐ真似するか、 批判するかの御仁とどっちが普通でないのか・・?
私が こうやるぞって言っただけで そのネタを実行に移す強者も何人か拝見した。

バカ(私)も生きにくい時代になったものだ、 技術の流れだけは少しリードしていたい。


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